「農業は、英語で”agriclture”なのだから、文化であるべき。
それが今では、”agribusiness”が主体となり、
できるだけ最短にラクをして成果を出し、儲けることばかりが優先されている」
そう言って警告を鳴らす経営者のもとを訪ねた。
出会ってすでに20年以上たつけれど会うたびに話すことは全くブレず一貫している。

時間を重ねてこそ得る”利益”は、文化のなかにある。そこに日本人ならではの「和の精神」
が根付く。

自然から奪うことにおもいをはせず、自己利益を優先する社会。
競争中心のレッドオーシャンのなかでの価格破壊。
過剰仕入れと消費のアンバランスによる大量の食品ロス。
「和の精神」とは程遠い「競争社会」での戦いにときに自己陶酔に陥り、他社（者）を
搾取することを肯定する企業も経営者もいる。

これまで20年近く食品流通業界の端くれに存在しながらその理不尽な経営方針や経営者の
姿勢に絶望感や屈辱感を味わったことも何度もある。
志同じく行動していたかのように信用していて裏切られたこともある。

でもこうして元に戻れる場所と人生の先輩がいてくれることが、本当にありがたい。
どんなに絶望感を味わっても、希望を断ち切られそうになっても「和の精神」を大切に
自然とともに生きる道へとちゃんと導いてくれる。

自然も時間をかけて花を咲かせて実をつける。
短い時間で成果を出すことを優先するビジネスではなく、
時間をかけてじっくりと生み出す文化と融合するビジネスを生み出しながら、
また同じ志の会社や組織もサポートしつづけたい。

人間社会が戦争、ウイルス、地震と騒々しくしている間も自然はちゃんと動いている。
桜の花を楽しめるこの季節。同じ木にきれいな桜の花々が咲いてくれることを
ちゃんと喜び、感謝できる時間を大切に過ごしたい。